高橋 | 今回ご紹介するのは志太泉です。 この日本酒を造っているのは 静岡県にある志太泉酒造さんで、 2012年5月18日に100回目の記念となる 平成23酒造年度全国新酒鑑評会にて 金賞を受賞した蔵です。 志太泉は、初代望月久作が、 酒蔵を開いた酒名を名づけるにあたり 地元志太郡の地名「志太」に志し、 太く泉のように湧き立つ酒を造りたいという願いを込めて 「志太泉」と命名したと伝えられているお酒です。 そして、志太泉は僕が実家の酒屋(油忠)を継いでから 初めて特約店取引を結ばせてもらったお酒で、 とても思い入れのある1本です。 |
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―― | これ、ビンが綺麗ですね。カバーで包まれていて。 |
高橋 | これは紫外線をカットするためのものです。 紫外線をカットすることは 日本酒の保存にとって重要なんですけど、 百貨店や小売店だと保存にこだわっているところは少なくて。 なので、志太泉酒造さんのお酒は どこに置かれても味が劣化しないように 特殊フィルムで包まれているんです。 ここまでやっている蔵はまだそれほど多くはないんでけど、 最近徐々に増えてきています。 |
―― | お店ではなく蔵の方が保存の仕方に工夫をするというのは ちょっと変な気もしますが、こういう取り組みは面白いですね。 |
高橋 | 今は百貨店だけでなく、 酒屋ですら紫外線対策をしていないところがあります。 対策をしないと、紫外線で味が劣化して 蔵元さんが届けたい味が届かないんですね。 なので、蔵元さんのほうも 本当に大事にしているお酒については、 お客さんに届けたい味を守ってくれる酒屋を選ぶんです。 それが特約店取引で、志太泉はこの契約を結んで 直取引をしている酒屋さんしか卸してもらえません。 で、先ほどお伝えしたとおり、 僕が実家を継いでから最初に直取引を結んでもらった 蔵元さんが志太泉酒造さんなんです。 |
―― | なるほど。 ちなみに、直取引をするにはどうすればいいんですか? |
高橋 | 直取引をするには、まず最初に 取り扱っている銘柄や、冷蔵スペースの広さなどを答える エントリーシートを送ります。 そして、エントリーシートが通った後は 蔵元さんによって対応の仕方が色々あるんですけど、 だいたいはお店を見に来てくれます。 本当に保管状況がしっかりしているかとか、 この店なら大事に取り扱ってくれるのかとか。 設備だけでなく様々なところを見られます。 志太泉酒造さんの場合は、 望月社長が静岡から直接お店に来て下さって、 お店を見てもらって、お話をした後に 「ここならちゃんとうちのお酒を伝えてくれる」と 信頼していただけて、特約店契約を結ぶことができました。 蔵の社長さんと直接話すのは 試飲会以外では初めての経験だったので すごい緊張したんですが、 望月社長はとても穏やかな口調で、 蔵の想いや、地元の話をしてくださって。 そのおかげで、僕からも実家の酒屋のこと、 SAKELIFEの事をしっかり伝えることができました。 なので、志太泉は僕にとって 思い入れのあるお酒の1つで、 この美味しさをSAKELIFEを通じて 伝えられたらと思っています。 |
―― | 1つの日本酒を取り扱うまでにも 長いストーリーがあるんですね。 それだけ思い入れがあるお酒である志太泉は どういった特徴を持っているんでしょうか。 |
高橋 | 志太泉は華やかな香りで、 すっきりしててとても飲みやすいです。 日本酒初心者の方は一升瓶を一人で空けるって なかなか大変だと思うんですけど、 志太泉は初心者の方でも飲みきれるお酒だと思います。 |
―― | たしかに一升瓶を一人でとなると 難しいイメージがあるので、 このセレクトはうれしいですね。 食事をしながら飲むときは どんな料理と合わせるのがいいですか。 |
高橋 | 志太泉はすっきりしてて、 どの味の邪魔にもならないのでどんな料理でも合います。 僕はお酒の味を楽しみたいので 豆腐とか淡白なものと一緒にたしなんでいます。 濃い料理にも負けないくらい芯がしっかりしていて、 だけどすっきりしているのが志太泉の魅力です。 食前酒としても、料理中でもぐいぐい飲める日本酒です。 |
―― | 呑み過ぎないように気をつけないといけませんね(笑) |