高橋 | 今回ご紹介するのは 「田むら」の呑み比べセットです。 この日本酒は、東京都の田村酒造場さんで作られています。 |
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―― | 東京で日本酒を作っている蔵があるんですか! 知りませんでした。 |
高橋 | そうなんです。 そして、田むらは蔵元さんとの直取引でしか手に入りません。 生酒にいたってはインターネット上にも売っていない、 つまり、一般的には販売されていないものです。 こういう貴重なお酒は、 蔵の人とどれだけ密な関係を作れているかどうかで 割り当て量が変わってくるんです。 やっぱり、少量しかできなかったお酒は いい付き合いをしているところに送りたいので。 |
―― | たしかに、少量だと 限られたお店にしか卸せないので、 大切に取り扱ってくれるお店にお願いしたいですよね。 田むらは2本の呑み比べセットということで、 ラベルを見ると 『田むら-山酒4号』 『田むら-吟ぎんが』 と書いてあるんですが、それぞれの違いは どういったところにあるんでしょうか。 |
高橋 | この2本はつくり方は一緒なんですけど、 使っているお米が違います。 使っているのは、ラベルにあるとおり 山酒4号という山形県産のお米と、 吟ぎんがという岩手県産のお米で、 お米の違いだけで全く違う味になるお酒です。 日本酒の味って水とアルコールとお米の三種類が 大きな要素を占めていて、 田むらはその三種類のうちお米の違いを 楽しんでもらいたいと思ってセレクトしています。 味は、山酒4号のほうがすっきりしていて、 吟ぎんがのほうが味が濃くてフルーティです。 本当に、米が違うだけで味も、香りも全く違ってくるんですよ。 あと、味について試飲会で気づいたこととして、 田むらは日本酒初心者の方にとっては ちょっときついなぁってなってしまうんですけど、 日本酒好きの方が飲むと 「今日はこれが一番!」となるおもしろいお酒です。 |
―― | たしかに両方とも濃いですが、 香りがいいので呑みやすいですね。 |
高橋 | 日本酒は香りがとても大事な要素です。 お米は削れば削るほど吟醸、大吟醸と ランクがアップしていくんですけど、 お米を削るということは、 それだけ味がすっきりしていくんですね。 なので、甘いのはどっちかというと お米が残っているほうのはずなんですよ。 だけど削っていったほうが 甘い感じがするのはなぜかというと、 これはお客さんに教えてもらったんですけど、 「香りのおかげだよ」と。 要は香りが味に大きく影響しているんです。 たぶん、鼻をつまんで日本酒を飲むと あまり美味しく感じないはずです。 |
―― | 香りで味が違うと感じるのは面白いですね。 それぞれ味が大きく結構違うんですが、 やっぱり飲み方も違ってくるんでしょうか。 |
高橋 | 吟ぎんがは乾杯酒に向いています。 料理と一緒に飲むには山酒4号のほうが良いですね。 今回はその違いを楽しんでもらえたらと思っています。 |
―― | 飲むときに適した温度に違いはありますか。 |
高橋 | 吟ぎんがは冷やから常温がおすすめで、 山酒4号は冷えていると少し物足りなく感じることが あるかもしれないので、ぬる燗くらいがおすすめです。 |
―― | ありがとうございます。 東京都にこんな美味しい日本酒があるというのは意外でした。 |
高橋 | 東京都のお酒というと 皆さんあまり馴染みがないかもしれませんが、 田むらは江戸時代から続く歴史と伝統のあるお酒なんです。 「東京都にお酒を造れる場所なんてあるのか」 と思う方が多いと思うのですが、 西東京のほうに目を向ければ、 多摩はもう大自然ですし、 西のはずれになると秘境みたいなところもありますし。 東京でも湧き水が美味しい地域はあります。 SAKELIFEのお客さんは東京の方が多いのですが、 その中で東京のお酒を飲んでいる人は一握りだと思うので、 東京にも良いお酒はあるんだよということを このセットで知ってもらえれたら嬉しいです。 |