フダンヅカイ

帰る場所

(2013-06-10)

「夕方休憩行っていいよ」

やった!

特別忙しいわけではないのに休憩時間がない山小屋で、
奇跡の休憩時間をいただきました。

目の前に壮大な景色がありながら、出歩けないもどかしさを
やっと解放できる時がきたんです!


「向こう側に登ると、町の景色が見えるよ。」

オーナーに教えてもらった方角を目指すことにしました。

「この雪の状態じゃ、アイゼンは意味ないよ。
長靴が登りやすい。
でも、サイズが合ってないなら、
自分の靴にスパッツつけて登る方がまだいいね」

オーナーに装備を相談し、教えてもらいました。
山の専門家が近くにいるって、素晴らしいです。

自分と同じ山を登っているのは、山スキーヤー1人のみです。
貸切状態!
ひとりじめ!と思う嬉しさの反面、
雪が積もっていてどこが谷かわからない怖さもありました。
一見地面がすぐ下にありそうな新雪を踏んでも、
そこが崖、ということもありえます。
踏跡から外れないよう、丁寧に、
しかし、集合時間に間に合うよう、足早に歩きました。
気温が一桁でも、歩くと暑いんです。
だから、水がどんどん減ります。

「標高が高い場所だから、下界で動く倍の運動量を消費するよ」
というオーナーの話がうなずけます。


どこまでも雪。
あるのは、白と青のみ。

本来私は、緑が好きなので、雪山より夏山が好です。
でも、登って登って振り返った先の景色を見下ろした時
言葉を失う感覚は、雪山も同じでした。

上でのんびりしたいけど、集合時間が気になってきました。
そろそろ帰ろう。
急ぎ足で下山し、集合時間内に山小屋に到着しました。

ただいま!
まるで、家に帰ったみたいです。

帰る場所があるから、安心して進めます。
帰る場所があるから、命を大切にできます。

帰る場所があるって、ありがたいな。
そう思いながら、温かい珈琲をすすりました。

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Profile

宮坂 由香(みやさか ゆか)

都内印刷会社にて、DTPオペレーターとして画像編集、
レイアウト編集業務を経験。

学生時代は子どもたちに忍術を教えたり
舞台に立つ忍者のアルバイト、イベントスタッフをしたり、
人と関わるユニークなアルバイトを経験。

Blog:http://ameblo.jp/saco-foto/
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