フダンヅカイ
豊かなノイズが生まれる場の発明をめざして ~株式会社ツクルバ中村さんと、お酒を飲みながら小一時間~

第9回 そういう考えを伝えたいというか

加茂 中村さんは、自分が作ったものは
長く残しておきたいタイプですか。
中村 残しておきたいですね。
加茂 下手すれば、
co-ba爺さんと呼ばれるくらいにまでなりたいとか。
中村 なれればいいですね。
けど、同じの状態でずっと30年40年残しておくという
堅物の喫茶店を作りたいわけではないんです。

数年経つと入居者の人も変わっていく。
その時にco-ba libraryの本のラインナップも
変わるじゃないですか。
それが面白いなと思ったんですよ。
加茂 僕もそう思います。
3ヶ月おきくらいに本棚の写真を撮っておきたいですね。
20年、30年やらないとわからないことって、
あるじゃないですか。
この床の木も20年後すごくいい色に
なっているんじゃないかなとか。

基本的に、長く使うことを前提に木を使っているんですか。
中村 そうですね。
経年変化とか日焼けとかも味が出るだろうなと
思ってやっていて。

実は、今設計の案件をもらっているオフィスがあるんですけど、
これもフローリングを張って、
ただ、例えば、co-ba libraryを撤去する時には、
全部ごみになるじゃないですか。
でも、そうじゃない床のあり方を提案しているんですよ。

900mm×900mmくらいのフローリングの
オリジナルパネルを作ってしまって、
それをただオフィスのカーペットの上に
敷き詰めるだけで、床ができます、と。
で、そんな床を2、3年は普通に使ってもらいます。

ただ、オフィスに限らず、退去時には原状復帰!
というルールがあるのですが、
次に引越しするときに床がごみになるのは勿体無いので、
そのパネルを次のところにも使えるように
持ち運びできるようにしてあります。
置くだけだし、撤去する時は重ねて
次のところに持っていってまた並べれば
次の床ができるよ、みたいな。
だからゴミにならないオフィスの床を提案しているんです。
加茂 それはいいですね。
退去するとき、全部捨てるのはもったいないし。
中村 しかも、その頃に一番味が出ているはずなのに。
加茂 その考え方は普及して欲しいですが、
みんな考えていないものなんですか。
中村 どうなんですかね。
設計者には考えている人もいると思いますが、
クライアントが考えているかというと、
一概にそうは言えないですね。

「いやいや普通のフローリングのほうがいいよ。」
みたいに言われてしまったら、
考え方の擦り合わせに時間が必要そうですもんね。
加茂 そういった人たちって、
長く会社を続けるという頭がないのかもしれないです。
「この建材、オフィス大きくなった時に使えたら楽しいよね」
って人と仕事をできたらいいですよね。
中村 おこがましいかもしれないですけど、
そういう考えを伝えたいというか。
僕はこういうふうに思うんですけど、どうですかと。
で、本当に反応しない人は反応しないと思うんですけど、
反応してくれる人は、「うんうん、それいいかもね。」
って言ってくれるんですよね。
加茂 常にそういうことを考えているんですね。
中村 でも悲しくなるんですよ。
竣工する日とかって、できたねえとか言っているんだけど、
目の前にはごみがあったりする。
場所はできたけど、ごみも作ったなぁみたいな。
加茂 これを使ってバーベキューでもしようかって(笑)。
中村 まだそのほうがいいですよね(笑)。
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