フダンヅカイ
豊かなノイズが生まれる場の発明をめざして ~株式会社ツクルバ中村さんと、お酒を飲みながら小一時間~

第7回 スペシャリストよりも、ジェネラリスト

加茂 co-baは今、結構メジャーというか、
色々な媒体に取り上げられて、co-baの中村さんという感じで
呼ばれたりはすると思うんですけど、
中村さんってその流れの中であえて、
自分が有利な立場、有名人の立場にならない場所に
行こうとするじゃないですか。
そのあたりが面白いなぁと思っていて。
中村 そうですかね(笑)。

たぶん、根本的に、スペシャリストよりも、
ジェネラリストよりなんですよ。
良く言うとそうなんですけど、
たぶん、器用貧乏で、いろんなことが好きなんですよね。
で、アウェイに行けば行くほど、盛り上がるというか、
自分の中で。
加茂 僕もそうです(笑)。
アウェイに行って、自分がまったく知らない技術や知識を
持っている人がいると「教えてほしいな」と思うんですよ。
自分ができないことを勉強したいんです。
自分より一回り上の年齢の人達が集まるイベントとか
行ったりしますか。
中村 行きますね。
加茂 co-baの入居者って中村さんと同世代の人が多くて、
管理人だから当然イベントのお誘いが
たくさん来ていると思うんですけど、
あえて関係のないイベントに行く。
それってすごいなって思うんです。

co-baの中で進んでいるプロジェクトに話を移すと、
話題になりやすいのはプロダクトをどんどん生み出す
ITスタートアップ系なんですけど、
中村さんはその中で1年か2年、
へたすると10年単位くらいのプロジェクトに
関わっている人たちをよく見ているなと感じます。
やっぱりあれは意識して見ているんですか。
中村 そうですね。
偶然というのはあるかも知れないですけど、
僕自身がそっちよりの話題のほうが
好きというのがあるのかもしれないですね。

僕は、自分がIT畑じゃないというのが1つあるんですけど、
やっぱり建築や都市を学んできた結果なのか、
短期的なスパンのものづくりよりも、
長期的なスパンのものづくりのほうが
シンパシーを感じるんですね。

まちづくりとか、めちゃくちゃ泥臭くて。
1年後何が変わっているのって聞かれても、
見た目には何も変わっていないのかもしれないですけど、
10年後には変わっているかもしれない
という仕事に燃えるんですよね。
加茂 僕も長いスパンの話は好きです。
僕は、土台を築けるような人になりたいんですよ。
今って、土台を作るよりは誰かが作った土台の上で踊りたい、
みたいな人が多いので、
じゃあ長く使ってもらえる土台を作ろうかなって。
それが「フダンヅカイ」なんです。

中村さんは今まちづくりの話をされましたが、
その一環としてco-baを作られていたとしたら、
まだできてから半年ちょっと。
この間にあった主なこととして、
スタートアップが色々なサービスを立ち上げて、
話題になって…ただ、まちづくりとして考えると、
歴史の中のほんの一部ですね。
中村 一方で憧れもあるんですよね。
ITスタートアップのスピード感ってすごいじゃないですか。
自分が思い描いたら、1から10くらいまでは自分で作れてしまう。

最近思ったのは、そもそも建築とかって、
そもそもとして、コワーキングなんですよね。すでに。
加茂 あ!言われて気付きました。
そうですよね。みんなで技術を持ち寄って、
設計できるよとか、塗装できるよとか。
中村 そもそもがチーム戦で、祝祭的な感じがするんですよね。
チームで5人いれば、頭から最後までできますという状態は、
建築的にはすごく憧れです。
けどありえないんですよ、建築だと。
なので、自分はここまではやるけど、
ここから先はお願いね、みたいな、
本当にチームワークでしかなくて。
だからもちろん、上の世代の人ともチームを
組まなきゃいけないし、そのスパンもすごく長いし。

実は自分が関わるのも、
初めのこのぐらい(少し)かもしれないけど、
そこから先は職人さんが頑張るとか。
全体を全部管轄できなくても、自分の作品だと思えるというか。
加茂 家を建てている現場を通ったとき、
お弁当食べたりお茶飲んだりしている人達が
楽しそうにしていた様子を思い出しました。
それを思い出すと、建築ってコワーキングですね。
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