加茂 | 「自分のために歌っている」と言っていた インタビュー記事[*1]を先日読んだんですが、 あれを読んだ時「嘘なんじゃないか」と思ったんです。 というのは、全体の発言を見た時に その考えに至るまでの経緯があったんじゃないかなと感じていて。 大事な箇所が削られている気がして、 すごくもったいないなと思ったんです。 |
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ネル | あのインタビュー記事…分かりますよ。 |
ネル | あの記事は結構内容を端折ってたんですけど、 単純に言うと、1枚目と最新のアルバムの違いなんです。 「みんなが求めているものを歌う」か、 「自分が気持ちいいものを歌う」かの違いで。 いい曲でも伝わることも伝わらないこともあって、 そういうことを言っていたんですよ。 |
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加茂 | あの発言を嘘だというのは きつい言い方だったかもしれないですけど、 「自分のために歌う」というのは、 自分がいいと思った曲を歌って、 みんなが楽しんでもらえればいいな、 ということだと僕は思ったんです。 もしあの記事でその大事な箇所が 飛ばされていたのであれば、かわいそうだなぁと。 |
ネル | たしかに、みんな「いい記事だな」って読んでて、 最後は「自分のためかーい!」ってずっこけるみたいな(笑)。 |
加茂 | あの終わり方だとただのわがままな人になっちゃうと思うんです。 自分にとっていいことであっても みんなにとってはいいことではないことをする… すごくまずいラーメンを作り続ける頑固親父みたいな。 |
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ネル | ははは(笑)いや、でも難しいな。 そのラーメンの例えで言うと、 人はそれぞれ違う味覚を持っているんだよね。 もしかしたら、オーナーは本当に これが一番うまいラーメンと思っているかもしれない。 それだったら僕はいいと思うんですよね。 みんながまずいと思っても、 自分がいいと思えば作るべきだと思うんですよ。 自分に嘘をつくのが一番悪いなって思うので、 聞こえは悪いかもしれないですけど、 わがままでいいと思うんです。 ただ、そのわがままのあり方は大事で。 自分のためにはやってはいるんだけど、 ただ自分が気持ち良ければいいわけではない。 そこで反応する相手がいるから 自分が気持ちよくなる、相手も気持ちよくなる。 お互い気持ちよくさせ合いながら、 これいいなと思い合いながら… だから、わがままであることは難しい。 あのインタビュー記事への反応を見ていると、 日本人がどうこうって言いたくないんだけど、 日本は団体行動を大事にしているから、 自分のために何かをやるというのが 許されていないところもあるのかなと感じています。 もちろん、それが悪いと言いたいわけじゃないんですけど。 |
加茂 | 自分のために、という話で続けると、 ネルさんがアップしている動画の中で、 「日本人のライブの楽しみ方が分からない」 って回がありましたよね。 なんでみんな同じ動きをするのか、 自分が楽しみたいように楽しめばいいのにって 言っていたのが印象的でした。 |
ネル | あれは「だから日本人はダメ」とは言っていなくて、 僕はやり取りをしたくて動画をアップしているんです。 ブログをやっていた時も 「僕はこう思うんです」って感じで 話し合いにしたかったんだけど、 向こうは一方的に叩いてくるだけなので、 ブログはやめました。 |
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加茂 | そういったやり取りは難しいですよね。 |
ネル | 悪くは言ってないんですよ。 疑問に思って、僕はこう思うんだよって。 決めつけてはいないし。 |
加茂 | 毎回、「あなたはどう思うんですか」と 話しかけていると感じるんですけど、 やっぱり日本では伝わらない人のほうが多いですか。 |
ネル | 伝わらないですね。 2ちゃんねるとか特にそうなんだけど、 匿名だから言いたい放題じゃないですか。 匿名はいいところもいっぱいあるんですが、 あまりにも無責任な発言が多すぎると思います。 |
加茂 | 匿名での無責任な発言は問題だと思うのですが、 僕が最近感じているのは、FacebookやTwitterとか、 ソーシャルメディアのほうに目を向けてみると、 実は好意的な意見を言ってくれる人が 多いってことに気づくんです。 攻撃というか、炎上させようとしている人は 実は少ないんじゃないかなって。 ソーシャルメディア上だと 「私はこの曲についてこう思う」という意見を 誰が言っているかが分かるじゃないですか。 あれで多少はやり取りがしやすくなったのかなと思うんですが。 |
ネル | おっしゃるとおりなんですよ。 FacebookもTwitterも、匿名じゃなくなることで 一応意見を慎重に述べるようになる。それがいいと思います。 |
ネル | 僕が理想としているのは、 ネットの世界と現実の世界が同じようなものになること。 今、どんどんネット社会になってきているじゃないですか。 だったら、ネット社会も、現実の社会と変わらず、 発言をした人がもっと責任をもっていくべきだと。 |
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加茂 | ネルさんは全部の意見に目を通していますよね。 Twitterでは先日のインタビュー記事を発端に 若干炎上しちゃいましたけど、 そのときにちゃんと、攻撃的な人たちに対して 「気持ちは分かったから話をしよう」という姿勢で やり取りをしていたじゃないですか。 でも、なかなかうまくいかなくて辛そうだなと感じていました。 |
ネル | すごい頑張って、みんなの言うことを理解した上で 返事をしているつもりなんですね。 でも、「そういう意味じゃなくて、こういうつもりで言った」 と説明しようとすると、 それでもこうじゃないか、みたいな返事が返ってきて。 最後には返事が返ってこないんですよね。 なんか台無しじゃん、みたいな。 |
加茂 | たぶんそういう人は、 誤解していた自分が恥ずかしいはずなんですよね。 僕ももちろんそんな状態になることはありますし、 直そうとは思っているのですが。 |
ネル | いや、みんなそうですよ。 みんなそうですけど、無視は一番ダメですよね。 せっかくこんな手を伸ばそうとしているのに、逃げる、みたいな。 現実の世界だったら台無しじゃん、ダメ人間じゃないですか。 |
[*1]「日本の音楽が腐っていくのはもったいない」—バンド「nothing ever lasts」に学ぶ、アーティストという生き様 (ihayato.news)という記事。
http://www.ikedahayato.com/index.php/archives/12907