フダンヅカイ
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第3回 「ここは俺の場所だ」

加茂 ネルさんが初めて日本に来た時に、
「ここは俺の居場所だ」と思ったということなんですが、
具体的な理由がなくてちょっと気になっていて。
難しいなとは思うんですけど、
今のネルさんだったらどういうふうに表現しますか。
ネル そこは未だにわかんないんですよね。

歌いたいとか、演劇やりたいとか、カメラやりたいとか、
自分の中では、なんでそれを選んだのかって分からないんです。
体がそういうリアクションをしたわけだから、そういうもんだよ。
ネル 今の質問にあえて答えるとしたら、僕は一人っ子なんですね。
で、親が結婚していなくて、親父のほうが離れた場所に住んでいた。
だからずっとお母さんと一緒に2人で狭い部屋の中で暮らしていて、
お母さんはずっと仕事をしてました。
なので、僕は「家族」というものが何なのかわからなかったんです。

そこで日本に来たら、
ホームステイをしたところでいきなり家族の一員になった。
おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さん、妹弟…
そして近所の仲のいい人。
「あ、これが家族で、愛されている気持ちなんだ」っていうのを
初めて感じたのが日本だったのかもしれないです。

「ここは俺の居場所だ」と思った理由を
あえてつけるとしたらそれなのかなって。
加茂 ありがとうございます。フダンヅカイは、
その人の考えていることは常に変わるという
考えで運営しているんです。
なので、今のネルさんの正直な言葉を聞きたかったんです。
ネル なるほど。深くは考えないようにしてるね。
「そうなったから」って言うと逃げ道になっちゃうんだけど、
でもそれでいいと思うんだよね。

僕はUCバークレーという名門から出て、
日本で音楽をやろうとしている。
そのまま卒業して、普通に就職をしていれば
もっともっといい生活はできただろうし、
もっともっと良い仕事についていたかもしれないけど、
「これをやりたい!」を信じて行動するっていうのは
僕の1つのモットーですね。
加茂 それは、「nothing ever lasts(今を大切に生きる)」ですね。
ネルさんの生き方がそのままバンド名になっているというか。
ネル あのバンド名も一瞬で思いついたからね。
「nothing ever lasts」の頭文字をとると、
nel(ネル)になるんですよ。
元々バンドを組んだ時に名前どうしようと思ってて、
とりあえず、ネルのバンドだからということで
瞬間的に「nothing ever lasts」と。
「もうこれだ!」って。
加茂 全部が綺麗にはまった。パズルのように。
ネル 本当に一瞬だったんですよ。「やべーきた!」と。
加茂 そこから4年間くらい活動していると。
ネル そうですね。もう5年目。
加茂 気付いたら5年。
ネル 気付いたら日本に来て5年目。
日本の生活はずっと「nothing ever lasts」と
一緒に過ごしてきていますね。

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