加茂 | ネルさんが初めて日本に来た時に、 「ここは俺の居場所だ」と思ったということなんですが、 具体的な理由がなくてちょっと気になっていて。 難しいなとは思うんですけど、 今のネルさんだったらどういうふうに表現しますか。 |
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ネル | そこは未だにわかんないんですよね。 歌いたいとか、演劇やりたいとか、カメラやりたいとか、 自分の中では、なんでそれを選んだのかって分からないんです。 体がそういうリアクションをしたわけだから、そういうもんだよ。 |
ネル | 今の質問にあえて答えるとしたら、僕は一人っ子なんですね。 で、親が結婚していなくて、親父のほうが離れた場所に住んでいた。 だからずっとお母さんと一緒に2人で狭い部屋の中で暮らしていて、 お母さんはずっと仕事をしてました。 なので、僕は「家族」というものが何なのかわからなかったんです。 そこで日本に来たら、 ホームステイをしたところでいきなり家族の一員になった。 おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さん、妹弟… そして近所の仲のいい人。 「あ、これが家族で、愛されている気持ちなんだ」っていうのを 初めて感じたのが日本だったのかもしれないです。 「ここは俺の居場所だ」と思った理由を あえてつけるとしたらそれなのかなって。 |
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加茂 | ありがとうございます。フダンヅカイは、 その人の考えていることは常に変わるという 考えで運営しているんです。 なので、今のネルさんの正直な言葉を聞きたかったんです。 |
ネル | なるほど。深くは考えないようにしてるね。 「そうなったから」って言うと逃げ道になっちゃうんだけど、 でもそれでいいと思うんだよね。 僕はUCバークレーという名門から出て、 日本で音楽をやろうとしている。 そのまま卒業して、普通に就職をしていれば もっともっといい生活はできただろうし、 もっともっと良い仕事についていたかもしれないけど、 「これをやりたい!」を信じて行動するっていうのは 僕の1つのモットーですね。 |
加茂 | それは、「nothing ever lasts(今を大切に生きる)」ですね。 ネルさんの生き方がそのままバンド名になっているというか。 |
ネル | あのバンド名も一瞬で思いついたからね。 「nothing ever lasts」の頭文字をとると、 nel(ネル)になるんですよ。 元々バンドを組んだ時に名前どうしようと思ってて、 とりあえず、ネルのバンドだからということで 瞬間的に「nothing ever lasts」と。 「もうこれだ!」って。 |
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加茂 | 全部が綺麗にはまった。パズルのように。 |
ネル | 本当に一瞬だったんですよ。「やべーきた!」と。 |
加茂 | そこから4年間くらい活動していると。 |
ネル | そうですね。もう5年目。 |
加茂 | 気付いたら5年。 |
ネル | 気付いたら日本に来て5年目。 日本の生活はずっと「nothing ever lasts」と 一緒に過ごしてきていますね。 |
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