フダンヅカイ
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第6回 みんなと手をつなぐ

加茂 最近のnothing ever lastsの活動を見ていると、
自分たちの曲を通じてみんなと
手をつないでいきたいんじゃないかなと思ったんですが。
ネル まあ、それがライブだからね。
生でしかできないことなので。

ライブ会場とか、路上ライブとか、夏フェスとか、
みんなが一体となって、これ気持ちいいなとか、
それは音楽の力なんですよね。
音楽以外にみんなが一体になれる力を持っているものは
なかなかないと思います。
映画にも力はあると思うんだけど、規模が少し小さい。
音楽は何万人じゃないですか。

一緒にこれいいね、って思えること。
それを追求していきたいんだよね。
一瞬の楽しさ、どれだけみんなと一緒になって、楽しくなって、
っていうことなんだよね。
だから意識的にはそういう傾向はあるかもしれないですね。
加茂 みんなで歌おうよって感じですよね。
曲もみんなが歌いやすい曲になってきているのかなと感じます。
カラオケで歌いやすいっていうか。
ネル そうですかね。
英語が多くなってきたんだけど(笑)。
加茂 それは自分が伝えたいことを伝えきるためには、
ここで英語で言わなきゃいけないってことが
分かってきたんじゃないかなって。
ネル 基本的に曲を作る時は、昔も今もそうだけど、
出てきた言葉で作ります。

考えて、これは英語、これは日本語、とかは全く考えない。
そこで例えば、「「愛している」という言葉」という曲だったら、
サビのところがそのまま日本語で出たんだよね。
もう日本語が出てしまったから、これは日本語だって。
違う曲だったら、英語の部分だったらそこがそのまま出た、

歌詞を英語で作って日本語に翻訳して…
みたいなことはしたことがないです。
加茂 ネルさんのリズムで言葉が出ているってことですね。
ネル そうだといいですね(笑)。
加茂 これだけ歌っている様子とか、ライブを見ていると、
音楽が好きってこと以上に日本が好きなのかなと思います。
来てから5年目ですけど、
日本に対しての印象は変わったりしてますか。
ネル 変わったのかな。でも自分が変わったかな。
僕の中では日本の印象は変わらないんだけど、
やっぱり自分が変わったね。

日本に来たばかりの時は
自分の中に日本のネルと、アメリカのNelsonという
2つの人物がいたんです。その2人がどんどん融合してきたのかな。

僕には伝えたいことがあるし、
本当に心から思ってることを言うので、
どうやって伝えていけばいいかという意識が
どんどん強くなってきています。
だから、最近よく
「ネルはどんどん生意気になってきたな」
って言われるんだけど(笑)
加茂 そうなんですか(笑)
日本に来たばかりの頃の写真と、今の写真を見ると、
ネルさんの今の写真がすごく日本人っぽく見えるんです。
ネル 日本人に見えてきたんだー(笑)
加茂 なんとなくそう見えるんです。
当然、顔の作りを見ればアメリカ人と分かりますけど、
さっきおっしゃっていたとおり融合してきたというか。
ネル 言っていることは分かります。
だって俺、今日本語で喋ってるんだよ(笑)。
もう、日本人になってきたのかな。

でも、結局日本人、アメリカ人関係なくどの国の人も、
落ち着いて、安心して、自信持って日本で生活をしていたら、
みんな同じ顔をするんだろうなって。
そういうことなのかもしれないですね。
加茂 みんなが同じ言葉を話して、同じところに住んだら
同じ顔になるのかもしれないですね。
ネル そうでしょうね。
それは日本にいる日本人ではなくて、
日本にいる人間みたいな感じで。
加茂 今聞いてて思ったんですけど、
たぶん「人間」っていう考え方が
ネルさんの根っこの部分にあるんでしょうね。

どんな国でも好まれる音楽ってありますよね。
そういったところで人間っていう考え方は、
音楽をやっている人にとっては大事なことなのかなと。
ネル 音楽はどこの国でも通じる唯一の言語だからね。
日本語だろうと、英語だろうと、
関係なく、いいものはいい。響くものは響く。

(続きます。次回更新は9月7日!)

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