フダンヅカイ
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もくじ
はじめに 元気のもと
第1回 量が質を生む
第2回 なんでこれをやろうと思ったの?
第3回 日本で閉じている必要がない
第4回 私がいちばん楽しんでる
第5回 クリエイティブ・コモンズ
第6回 イノベーションをどう作っていくか
第7回 早く利益を出さなきゃいけない
第8回 結びついた時のワクワク度

第3回 日本で閉じている必要がない

加茂 僕はロフトワークが掲げている
「クリエイティブを流通させる」という言葉が
すごく好きなんです。

で、最初はクリエイティブの流通っていうのは
インターネットを介していたんですが、
今はFabCafeとかOpenCUとか。
リアルも兼ねています。
加茂 リアルの場を作ろうとしたきっかけは何だったんですか。
そうだな。
あんまり綺麗にまとめようとしないで、
フダンヅカイの言葉で答えるならば、
私はネットが大好きなんですよ。
インターネットの接続がないエリア、
携帯が圏外とかになるエリアにいくと、
すごく不安な気持ちになるくらいネットが好きなのね。
インターネットはいろんなモノが出せるし、
無理だと思っていたものが可能になる、
ドラえもんのポケットのようなものだと思っているの。

インターネットによっていろんなものが変わっていくのは、
これから続く大きな社会構造の変革に繋がっていくと思っていて。
産業革命の後にフランス革命が起こって
人民に力があるってなったように、
インターネットがビジネスのありかたを変えて、
人間の考え方も変えていくと思ってる。
それがたぶん何十年も続くと思っているのね。
それくらいネットの可能性を信じているし、
大好きなんだけど、その一方で、
人と人が実際に会わないと生まれない
化学反応みたいなものもあって。

インターネットはびっくりするような出会いを
加速してくれるものだけど、本当の化学反応は
やっぱり会わないと生まれないような気もする。
例えば加茂さんが「林さんってどんな人なの」
っていうのをネットを使って事前にいろいろと調べて、
会った瞬間に分かり合えるというのはあるけど、
ネットを使っただけで私と分かり合えるというところまでは
いけない気がするのね。

だから、インターネットを使って
出会うチャンスを増やす一方で、
出会う場、リアルな場もそれと同じくらい作っていきたいの。
しかもそれはグローバルにしたい。日本で閉じている必要がない。

今、FabCafeがグローバルになりそうなのね。
台湾でもできるし、シンガポールでもできる。
シンガポールのFabCafeでシンガポールのクリエイターが
「こんなものを作りました」と作り終わった瞬間に、
それがFabCafeの渋谷でもばんっとモニターで出てきたら、
「シンガポールすごい!」ってなって、
そのデータをすぐにダウンロードして渋谷でも作ってみるとか。
そういうのってさ、つながったほうがワクワクするじゃない?
加茂 それがシェアなんでしょうね。

誰かがシェアしたものを見て
「ちくしょうやられた!」って人が世界中で出てきて、
「じゃあ俺はこうやる」となって、
そうなったら本当にグローバルですよね。おもしろそう。
もともとFabCafeを作った時に、
2店舗目は絶対に海外に作ると決めていて、
国内には作らないと決めていたのね。

それが実現しそうで、
すごい面白いチームも集まってきているんです。
加茂 FabCafe自体がすごく魅力的だから
人が集まってくるんでしょうね。
僕も1回行ったんですけど、
あのレーザーカッターで何か切りたいって思いました。
行った時はネタがなかったんですけど(笑)。

あと、MacBookに刻印ができることを知った時に、
「これはみんながやりたかったことじゃないかな」
って思いました(参照リンク)。

ステッカーを貼るのではなくて、
彫りたいって人はいたと思うんですよ。
で、彫ると真っ白になるってところがまた感動だよね。
加茂 あれはやられたなって思って。
今はレーザーカッターだけなんだけど、
もう少ししたらチョコレートの3Dプリンターが来るんですよ。
素材はチョコレートにして、
好きな形のチョコレートを作れる3Dプリンター。

そうするとさ、子供でも、奥さんでも、大好きな人に
自分がたった一個のチョコレートを作ってあげるって良くない?
加茂 それはすごく作りたいです。

今、そういうたった1つモノの魅力って
すごい上がっているなと思っていて。
モノでもクリエイティブは流通するなっていうのは
FabCafeを見て思ったんです。
そうなんだよね。
しかも、職人的なハンドメイドと、大量生産の工場という
そんなに離れた対立の構造ではなくて。
例えばH&Mに行って、
500円のタンクトップを買ってきて、
デジタルミシンでロゴを刺繍する、
それもありだと思っていて。

職人にならなければいけないほど、
みんながオンリーワンを作れるわけではない。
だからと言って、ユニクロとか、H&Mを
否定するものでもなくて、
でもそこにちょっと何かをやるだけで、
自分の分身になる感じ。

となると、素材屋さんが
ユニクロであり、H&Mであり、ハンズであり。
大量生産のものは全部素材になって、
そこになにかちょっと自分らしさを加えることも
できるようになるんです。
だからこれから色んな物の価値とか
作るプロセスが変わってくるだろうなって。
加茂 プロセスが変わるという話でいくと、
FabCafeにあるレーザーカッターは
ものづくりのプロセスを変えていますよね。
「こんなことができるんだ!」っていうのが
ブログなどで紹介されていて、おもしろいなと。
うん。で、私はそういうのを食べ物に繋げたいな。
何でもいいんだけど、なんか、海苔とかもさ、
1つずつメッセージが書いてあって、
海苔のセットを送ったりとか。そういうのをしたいんだよね。

ぜひ、海苔とかチョコレートとかFabしにきてください。
加茂 海苔もできるんですか?
できるできる。
マークの入った海苔も作れるし、お皿も作れるし、
なんでもできますよ。
加茂 そこまでできるとは知りませんでした…
あと、さっきもらった名刺を切って、
立たせることもできるよね。

ようは、名刺を渡す時に、この鳥さんを立たせてさ、
ぴゅって「フダンヅカイです」ってやるとかさ。
そういうことだけで、生活の中に幸せが増えるよね。
  (果たしてツカイちゃんは立つのでしょうか…
 つづきます!)

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