フダンヅカイ

もくじ
はじめに 多くの人と触れ合う日常
第1回 「いい人、もの」を紹介するウェブマガジン
第二回 覚悟を決めている人にしか言えないこと
第三回 編集は特別なものではない
第四回 芸の道でご飯を食べられるように

はじめに

加茂 今日はよろしくお願いします。

東京黎明ノートはサイト制作時点から
関わっていたのですが、
制作当時からコンセプトがはっきりしていた状態で
始まったのがおもしろかったです。
オープン前から東京黎明ノートの
原型みたいなものはあったんでしょうか
石川 同じ「東京黎明ノート」という名前の
ブログをつくってコラムを書いていましたが、
今のサイトとは関係ない内容でしたので、
はっきりとした原型はなかったですね。

なぜあのサイトを作ったかというと、
僕は大学を卒業した後にファッション誌の
編プロ(編集プロダクション)に入ったんですが、
仕事の傍ら展示会に行くことがあって。
その時に「あ、この人いいな、紹介したいな」
っていう人と会うことが結構あったんです。
でも仕事の多くは下請けだったことなどもあって、
僕が紹介したい人を起用した記事を
提案できる機会が無かったんです。

で、その編プロを退社した次に
地域紙の版元(出版元)に入りました。
その地域紙は自社媒体なので、
企画を一から考える機会には恵まれていましたが、
やっぱり地域というのがコンセプトなので、
紙面を配布する場所と関係ないことは紹介できないんです。
そんなわけで、これまでに知り合った
すてきな人たちを紹介したいのに
できないというジレンマが、
編集の仕事をしている中でずっとあったんです。

それで、仕事をやりながら趣味として、
東京黎明ノートを立ち上げようと思っていたんです。
でも、ひょんなことから地域紙の代表に
それを知られてしまって、
「プロとして土俵に立っている以上、
趣味で媒体を立ち上げるのはどうなの?」
という感じのことを言われて。
「(地域紙と東京黎明ノートの)どちらか選ぶべきだ」と。

それで、東京黎明ノートの立ち上げと
ほぼ同時に独立したんです。
加茂 雑誌ではなくウェブというのは
最初から考えられていたんですか。
石川 そうですね。最初からウェブで考えていました。
ウェブならお金も紙ほどかからないし、
紙だと個人では営業するのが大変というのもありますし(笑)

一応、会社員時代にホームページの
簡単な更新作業はしたことがあったんです。Wordpressとか。
ウェブを全くやっていなかったというわけでなかったので、
その辺りは経験が活きました。
加茂 なるほど。ちなみに立ち上げ時にアートの分野を
紹介するというのは決めていたんですか。
サイトを見ると「東京のアートシーンを取り上げる」
みたいなことを書かれていたので。
石川 立ち上げ時に書いたあの文章は言葉足らずで、
今はリライトしてアートとエンタメ両方を
取り上げるという説明になっています。
加茂 まとめてクリエイティブを紹介する、
みたいな感じですか。
石川 そうですね。

極端な例でいうと、僕は大学時代演劇部だったんですけど、
当時本当にこの人うまいな、
ずっと舞台やっていて欲しいなという人がいて。
彼自身も役者を目指していたんですけど
普通に就職しちゃったんですね。
役者一本で食える人なんて本当に一握りですし。

でも、彼は人を感動させる芝居ができると、
僕は今でも思っているんです。
そういう力を持った人が、その道で生きることができれば、
もっと多くの人が幸せになれるんじゃないかと思っていて。

彼のような人たちを東京黎明ノートで紹介することで、
少しでも力になれればと思っています。
……というのは大義名分で、
本当は自分が「いいな」と思う人やものを、
もっといろんな人に知ってもらいたいだけなんですけど。
もったいないじゃないですか。
加茂 先日「東京黎明ノート・ギャラリー
というギャラリーを開設されましたが、
これも「いい人、もの」を紹介するという点では
サイトの方針と共通していますね。
石川 東京黎明ノート・ギャラリーはウチの企画展を月1回と、
あとレンタルギャラリーをやろうと思っていて、
「この人すごいな、いいな」と思った人を
紹介できる場にしたいと思っています。

でも、やっぱり母体はサイトなので
ギャラリーはあくまでサイトの可能性を
広げるための位置づけで運営しています。
サイトに出てくれた人の個展を開くなど、
基本はサイトと連動した企画をやる予定です。
加茂 そうすると、東京黎明ノートに
かなり力を入れていかないといけないですね。
石川 そうですね。
やっぱりそれで食べていきたいというのがあるので。

(つづきます!)
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