加茂 | 日本は本当に豊かなのか、という話だと、 最近ずっと思っていることとして、 過去を重視する人が増えているなと感じていて。 僕は今30歳ということで 文字通り30年くらい生きてきているんですけど、 大人になるまでの間に 漫画のバブルがあり、音楽のバブルがあり、 色んな分野の黄金期を体験してきました。 で、その時を知っている人たちが 新しく漫画を描こう、音楽をやろうとしている 人たちに対して、過去の最高作品と比較して 「これはダメだ」と言っちゃう。 それが最初の一歩を踏み出しづらい状況を 作っているんじゃないかと思っているんです。 例えばおもしろい漫画を描いたとしても 「この人が以前作ったこの漫画のこのコマと比べたらダメ」 と言ってくる人がいるので、 発表することを怖がる人がいるんじゃないかなと。 ただ、そんな中で戦っている人たちもいて、 そういう人たちをどれだけ拾うのかが 大事なんじゃないかなと思うんです。 それを東京黎明ノートはできると勝手に思っていて。 |
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石川 | がんばります(笑) |
加茂 | 実際に記事を拝見していると、 作品というよりはその人自身に 焦点を当てているなと感じるんですが、 人を中心に記事を書くことは意識されていますか。 |
石川 | 基本は人ですね。 作品にはその人となりが反映されるというか、 結局はその人が何を思ってやっているのか、 というのを大事にしたいなと思っていて。 |
加茂 | Aを作ったBさんではなく、 Bさんが作ったAみたいな取り上げ方を 今の媒体はあまりしないのですが、 実際人から入った方が作品の良さがわかりますよね。 |
石川 | 僕自身もやっぱり 作品に感動してから入るんですけど、 作品だけで良いのであれば マス媒体が取り上げているわけで。 作品も良くて、この人がこういう想い、覚悟で やっているんだというのを、 応援したいと言うと偉そうですけど、 そんな気持ちで記事を書いています。 |
加茂 | こういうのもあるんですよ、って感じですよね。 ちなみに、今後取材する予定の方はいらっしゃるんですか。 |
石川 | いるんですが、 今は本業がいっぱい入っていて なかなか実現しない状況ではあります。 この辺はしっかりしなきゃいけないなと 思ってはいるんですが。 |
加茂 | 石川さんは今、 編集のお仕事を中心にされていると思うんですが、 周りの編集者の方々の仕事を見るに 編集者って求められることが増えていませんか。 |
石川 | 原因はいろいろあると思うんですが、 単純に制作費が減っていて。予算の少ないものでは 編集がインタビューもしてライティングもして って感じになってきていますね。 その辺り、本来編集者がするのとは違う仕事なはずです。 まあ、編集者といってもつくるものによって全然仕事が違うので、 僕のようなテキスト主体の制作物の場合ですね。 インタビューの場合、ライターの方が取材と執筆をして、 編集者は見ていて足りない質問があると思ったら 追加したりするという役割でした。 昔はいろいろ役割分担がされていたみたいなんですけど、 現在はそういう案件ばかりでもないですし、 今の編集は何でも屋みたいなところはある気はします。 |
加茂 | 最初、東京黎明ノートを見て ウェブっぽくないなと思って。 理由を考えた時、ちゃんとした編集が 入っているからなんだなと思ったんです。 石川さんから見て、ウェブの媒体を見た時に 「こうしたら良いんじゃないかな」 って思う事はありますか。 |
石川 | どういうページの作り方をしているのかなと 見ることはあるんですけど、 他のウェブ媒体のインタビューを 読むことはあまりないですね。 読むとすれば、もっぱら紙媒体です。 というのも、必要であろう情報が ちゃんと入っていないお粗末な記事が結構目について。 自称ライターみたいな人が書いているのかな、と思います。 もちろん、探せばいい記事・メディアはあると思うんですけど、 そこまで積極的に探していないというか。 あとは、自分が請負の仕事をしていて 感じることなんですが、 広告畑の人と出版畑の人がつくるメディアでは、 やっぱり感覚が違うんだと思います。 「編集」されていないというか。 ただ、「編集」という行為は料理の付け合わせや ファッションのコーディネートを決める時のように だれもが日常的にしていることで、 特別なものとは決して思っていません。 プロかどうかの違いはありますが。 |
加茂 | 今は2ちゃんねるのまとめサイトとか、 1つの事実を拡大解釈して煽るといったサイトが 人気を博しているんですが、 そういう事実に対して悩んだりすることってありますか。 |
石川 | 悩みはしないですね。 人気のある・ないは結局自分の力不足だと思いますし。 ただ、先日うちの記事がまとめブログで 曲解されて掲載された時、読者の反応を見て 「なんで本文を読みもしないでそんな簡単に信じちゃうんだ」 と感じることはありました。 |
加茂 | ああいうのを見ると、 実際に読まないで判断する人が多いってことなんでしょうね。 でも、東京黎明ノートとしてはその辺りではなく、 あくまで硬派な内容を読みたい人たちへ向けた コンテンツを作り続けていくと。 |
石川 | そうですね。 硬軟織り交ぜて、そういうニーズにも応えられる サイトでありたいと思っています。 (つづきます!) |