フダンヅカイ
ネルさんのプロフィールはこちら
もくじ
はじめに 日本人より日本人らしいアメリカ人
第1回 思い、気持ち、空間を大事に
第2回 1枚目のアルバムは僕も聞いてて恥ずかしい
第3回 「ここは俺の場所だ」
第4回 自分のために歌ってる?
第5回 ネルのワンコーラスシリーズ
第6回 みんなと手をつなぐ
第7回 僕の大きな夢
第8回 ありのままの音、空気を受け入れる風景

はじめに 日本人より日本人らしいアメリカ人

nothing ever lastsというバンドの存在を知ったのは
たまたまネットで見かけたインタビュー記事でした。

「日本の音楽シーンを変える!」という
大きな目標を掲げて活動をしていて、
「日本にはいいところが
いっぱいあるのにもったいない!」
と、提言みたいなことまでして、
音楽だけでなく社会問題まで考えているなと
感じる内容のインタビューでした。

…と、ここまでだったら
どこかで読めそうな記事なのですが
驚いたことにこの話、
アメリカ人が通訳を介さず
全部日本語で答えたインタビューだったんです。
ネルソン・バビンコイ。
nothing ever lastsのボーカルです。
バンドではnel(ネル)という名前で活動しています。
(※この連載では、ネルさんで統一します)

なぜ日本で活動をすることになったのか?
それはネルさんが15歳のとき交換留学で
日本にやってきたことがきっかけになっています。
わずか2週間の滞在ながら、
「ここはオレの居場所だ」と感じたのだそうです。

その後、ネルさんはUCバークレーという
アメリカの超名門大学に入学し、
コンピューターサイエンスを学ぶものの
1年でやめてしまいます。
コンピューターサイエンスをやめて
専攻したものは、なんと日本語。
親をはじめとして家族から反対されるも
ネルさんの意思は固く。
慶應大学に1年間留学して勉強するなど
必死に日本語を勉強したそうです。

そして、勉強の合間に日本の名曲を歌う
「ネルの1コーラスシリーズ」という動画を
YouTubeにアップしていたら、日本で大人気に。
これがミュージシャンとしての活動を
本格化させることになります。
その後、YouTubeでの活動に目をつけた
日本のテレビ番組に出演することになったのですが、
出演後、著作権の問題で
まさかの動画全削除の憂き目にあいます。
この動画削除をきっかけとして、
ネルさんは日本の音楽のあり方に対して疑問を持つようになり、
その疑問の答えを追い求めるかのように
「nothing ever lasts」を結成し、現在に至ります。

音源は無料でフル視聴可能。
現在はYouTubeがJASRACと契約して
動画削除の可能性がなくなったため
バンド活動と平行して
「ネルの1コーラスシリーズ」も復活しています。


このストーリーを見て面白かったのは、
目標の大きさに反比例して、
動画をたくさんアップしたり、
路上ライブも頻繁にやったりと
とにかく活動内容が地道だったこと。
大きな目標を掲げる人は
行動力が伴わないことが少なくないのですが、
ネルさんは目標に向かって
常に行動し続けていたので、
興味は尽きませんでした。

これは、一度話を聞かないと。
というわけで、全国ツアーのファイナルを終えた後に
お時間をいただき、ネルさんとおはなしをしてきました。
音楽の話、日本への思い、叶えたい夢…
1つのアルバムのようなおはなしとなりました。
さあ、いよいよ開幕です。
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