林 | 今はクリエイティブ・コモンズの活動がいったん落ち着き、 メディアラボで具体的にやりたい課題が見えているから、 しばらくそっちにシフトしようかなっていう気持ちがあります。 (編集部注:メディアラボ=MITメディアラボ、 米国マサチューセッツ工科大学建築・計画スクール内に 設置された研究所のこと) |
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加茂 | メディアラボでやりたいことというのは、 ロフトワークでやることとはまた別になるんですか。 |
林 | ロフトワークも使いながら、 イノベーションをどう作っていくかっていう。 |
林 | クリエイティブ・コモンズももちろんそうだし、 インターネット時代のビジネスのあり方っていうのを 日本の大企業がみんな追求していて、 ロフトワークはそういう大企業のパートナーとして、 いかに彼らが新しい価値を生み出すビジネスを 設計できるかっていう形で普段から動いているから、 そう意味ではロフトワークがやっていることと、 メディアラボのスポンサー企業が 目指しているものってすごく近い。 クリエイティブ・コモンズよりは もっと目に見える成果を生み出していけるし、 それを世の中に問うて、 「これってどう?だめ?じゃあこうやろうか」 って動かしていける。 クリエイティブ・コモンズは著作権を扱っていて、 幅広くあまねく法律を作るような話だから、 結構砂漠に水的なところもある。 さっきドミニクの本 (※フリーカルチャーを作るためのガイドブック) がいいよねって 言ってくれたのはすごい嬉しいんだけど、 もっと前からクリエイティブ・コモンズの本って 何冊か出ているんです。 でもなかなか社会全体に届くまでは乖離があったりして。 |
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加茂 | 他の本は学術書みたいで 購入しづらいっていうイメージがあります。 その中で、ドミニクさんが書いた本は 「フリーカルチャー」という単語に 置き換えたところが大きいのかなと思っています。 たぶんクリエイティブ・コモンズの本って 思想が書いてあると思うんですけど、 その先が見えないというか。 |
林 | 創始者のローレンス・レッシグの書いた「CODE」を読むと、 雷が落ちたようなビジョンが見えるよ。 本当に、大きいブルドーザーのような言葉で。 世界中の人が彼のスピーチを聞きたがるのは、 本当に彼が話すと、ピカって感じの後光がさす鋭さなんだけど。 「CODE」は分かりやすい本じゃないんだけど、すごいかっこいい。 |
加茂 | その本は読んでみます。 |
林 | ぜひ |
加茂 | それで、さきほどのメディアラボの話に戻しますと… |
林 | そうだね。イノベーション。 イノベーションっていうか、イノベーションの本質は、 それに触れるまでは想像もつかないんだけど、 触れてみたら「なんで今までこれがなかったか不思議だよね」 っていうのがイノベーションなので。 そういうものを小さくてもいいので 生み出していくっていく事をやりたいなと。 |
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加茂 | それはネットなのか、プロダクトなのかは まだ分からない感じですか? |
林 | もう融合だね。 たぶん、ネットとモノは融合していくと思う。 今オムロン ヘルスケア社とやっている「ねむりラボ」も、 眠りセンサーがある機械と、それをデータでネットで繋げて、 眠りってそもそも私たちにとって何なんだろうっていう ソーシャルでの対話、だったり。 モノとネットがどんどんとくっついていくんだよね。 |
加茂 | 今、リアルとネットがすごくいい形で 混ざりつつある時代になってきましたよね。 それこそ、ロフトワークではOpenCUとかFabCafeがあって。 例えばOpenCUでやっている講演を中継すると いろんな人がコメントを書いてくれて、 そこから講演内容が活性化するとか。 気軽にインターネットからリアルの世界に 参加できるようになってて。 そこからまたいろんなことが生まれてくるんだろうなって。 ロフトワークがすごいなって思っているのが、 だいたい一番じゃないですけど、 そういうことをほぼ先駆けでやっているじゃないですか。 あれって林さんの中で、 危機感みたいなものでやっているんですか。 |
林 | 全然。危機感はあまり持たない。比べない。 人も知らないけど、ワクワクってしたらやろうっていう。 |
加茂 | なるほど。 たぶん、そのワクワクがいろんな人に伝染していって、 形になるんでしょうね。 震源地みたいな感じなんでしょうか。 |
林 | どうなんだろうね。 |
中田 | 震源地かもしれないですね。 でもワクワクって基準は… |
林 | まあワクワクは伝染しやすいからね。 |
加茂 | 「これ楽しそうじゃん!」 って言ったらそれができちゃうみたいな。 |
林 | ね。 FabCafeだってわざわざ1回やめた社員が、 シンガポールから戻ってきて 「僕、前からクリエイターのカフェやりたいって 言ってたじゃないですか。覚えてますか」みたいな。 まあ覚えてなかったんだけど(笑)。 |
加茂 | おもしろいですね。 |
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林 | うん。すごい良かったって思って。 で、海外でやったらいいよねって思っていたら、 たまたま来た人が、これ台湾でもやりたい、ドバイでもやりたい とか言ってみんなが集まって、じゃあやろっか、みたいな。 |
加茂 | FabCafeの台湾ができたら行きたいです。 何が材料として使われるかとか興味あります。 |
林 | 1年後にどうなっているかだよね。 (つづきます!) |