加茂 | 今までお話をお伺いして、「幸せ」というのは 今日のキーワードなんじゃないかと思いました。 林さんって、いろんなことに 幸せを感じているじゃないですか。 ロフトワークの社内で 誰よりも感動する力が強いんじゃないかなって。 |
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中田 | なかなか鋭いですね。 |
林 | 本当だね。 一番楽しんでる。おいしいとこ取りしている。 |
加茂 | その力がたぶん、 このロフトワークという会社全体に 広がっているんじゃないかなって。 |
中田 | 最近面白かったのが、 「京都オフィスで元気のない人がいるみたい」 って話になった時に、渋谷のスタッフが 「それは千晶さんの近くにいないからだよ」って。 |
林 | すごいね(笑) 時々悩むよ。私がこんなに一番楽しんでていいのかなって。 「一緒に楽しもうよ」って言うんだけど。 |
加茂 | たぶん、みんなが「こうなりたい」って思うような 楽しみ方をされているんじゃないですか。 |
中田 | なりたいというよりは、引きずられる感じです(笑)。 なりたいかはなりたくないかは関係ないんですよ。 |
林 | なんか強制力があるのかな。 |
中田 | 「ここまでは弾けちゃいけない」と みんながどこかでストップをかけているところに、 千晶さんが裸で飛び込んでいくみたいな(笑)。 みんなで巻き込まれていく感じが快感っていう、 どMな集団だと私は思ってます(笑)。 |
林 | そうねー。 |
中田 | いいと思います(笑) |
林 | 最近の中で一番やっぱり心に残っているのは、 二木あいさんっていう水中でパフォーマンスをやる人が、 水の中で5分とか、7分とか潜ってられるわけ。 私たちって息を止めていたら 30秒止めるだけでも苦しいってなると思うの。 なのに二木さんは5分以上潜っていられる。 脳科学の牛場さん (牛場潤一・慶応義塾大学理工学部生命情報学科専任講師)と 理研の藤井さん (藤井直敬・脳科学者、「つながる脳」の著者)という、 脳科学で日本を代表する2人とその話を聞いていて、 2人が二木さんに「なぜそんなことができるんですか」 って質問をしてみたら、 「脳が邪魔しているから、脳を止める」んですって。 2人は「5分なんて、絶対死ぬよ」って言っていたんだけど、 彼女はそれしか言わなかったの。 私はその話を聞いた後2つの理由があるなと考えて。 1つは、脳が酸素をすごく使う。 だから脳の働きを止めると純粋に酸素を使う量が減るから 水の中でいられるようになるっていうのが1つ。 もう1つはね、 脳がより安全に生きているように体を守るために、 あれはできない、これもできないって指令を出しているわけ。 火事場のバカ力みたいに、本当は持てるんだけど、 それをやると体にすごい負担になるから、 体を長く生きさせるために 人間のポテンシャルをある意味で潰している。 欲望に対しても、可能性に対しても、能力に対しても、 いろんな意味で10%くらいの活動しかさせないまま、 「あなた達はこれが精一杯ですよ」って制限をかけてくる。 それが脳だと思うんですよね。 |
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加茂 | 僕はスポーツをやっていたので その話はすごく分かります。 例えばものすごく脚が速い人って、 怪我をしやすかったりするんですよ。 自分の能力の限界値を超えてやろうとするから、 それを支えられる筋肉がない時は怪我をするんです。 |
林 | そうそう。 脳が設けている制限を超えると、 肉体も心もダメージを受けるはずなんですよ。 やっぱりある程度トレーニングがないと コントロールしきれない。 だからいろんな意味でまあまあの中でやっているんだけど、 私はそこをもう少しずつ開いていきたい。 少しずつ少しずつ開いていくというか、 苦しみを感じないために いっぱいコートを着ている状態よりは、 真っ裸で「さむーい!」ってなったほうが、 生きてるっていう実感が湧く。 だから痛くても生肌感覚でいつまでも生きていたいなって。 |
加茂 | それはすごくわかります。 ただ、感情を開放した時って、 その分アップダウンが激しくなりますよね。 |
林 | 反動も来るんですよ。 |
加茂 | それがないと楽しめないこともありますよね。 |
林 | 反動が来た時は かずえちゃんに受け止めてもらう(笑)。 |
中田 | たまに膝を抱えている時に、 本当にたまになんですけど。 私は「大丈夫です、できます!」って 声をかける係なんですよ。 |
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林 | もう無理かも、って言うと、「大丈夫です」って。 |
加茂 | 腕立て伏せあと1回できないという時に 「やれる!」と言ってるトレーナーみたいですね(笑)。 やったら意外と出来るみたいな。 |
中田 | 「美しいフォームです!」みたいな(笑)。 回数で褒められないときは、フォームで褒めます。 |
加茂 | 中田さんを始めとして、 いろんな人に支えられていますね。 |
林 | 本当だね。 |
中田 | みんなが支えたくなるんですよね。 |
加茂 | 引っ張ってもらってる分、支えたくなるんでしょうね。 先日、FabCafeの空間設計をした成瀬さんと猪熊さんと おはなしした聞いた時にちょこっとだけ出たんですけど、 悩んでいることがあって林さんに相談を持ちかけたところ、 忙しいはずなのに、「よし、ブレストしよう!」 ってなって助かったっていう話を聞いて、 そんなエピソードがいろんな人に あるんじゃないかなって思ったんです。 同時に、自分の時間を本当に、 人のためと自分のためといろいろとごちゃまぜにして 使っているんじゃないかなと感じました。 |
林 | 鋭い!そうね。一人称が曖昧だね、私。 |
中田 | 「私」が「私たち」になっている。 |
林 | ないね、あんまりそこがない。 (つづきます!) |