フダンヅカイ
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もくじ
はじめに 元気のもと
第1回 量が質を生む
第2回 なんでこれをやろうと思ったの?
第3回 日本で閉じている必要がない
第4回 私がいちばん楽しんでる
第5回 クリエイティブ・コモンズ
第6回 イノベーションをどう作っていくか
第7回 早く利益を出さなきゃいけない
第8回 結びついた時のワクワク度

第4回 私がいちばん楽しんでる

加茂 今までお話をお伺いして、「幸せ」というのは
今日のキーワードなんじゃないかと思いました。

林さんって、いろんなことに
幸せを感じているじゃないですか。
ロフトワークの社内で
誰よりも感動する力が強いんじゃないかなって。
中田 なかなか鋭いですね。
本当だね。
一番楽しんでる。おいしいとこ取りしている。
加茂 その力がたぶん、
このロフトワークという会社全体に
広がっているんじゃないかなって。
中田 最近面白かったのが、
「京都オフィスで元気のない人がいるみたい」
って話になった時に、渋谷のスタッフが
「それは千晶さんの近くにいないからだよ」って。
すごいね(笑)

時々悩むよ。私がこんなに一番楽しんでていいのかなって。
「一緒に楽しもうよ」って言うんだけど。
加茂 たぶん、みんなが「こうなりたい」って思うような
楽しみ方をされているんじゃないですか。
中田 なりたいというよりは、引きずられる感じです(笑)。
なりたいかはなりたくないかは関係ないんですよ。
なんか強制力があるのかな。
中田 「ここまでは弾けちゃいけない」と
みんながどこかでストップをかけているところに、
千晶さんが裸で飛び込んでいくみたいな(笑)。

みんなで巻き込まれていく感じが快感っていう、
どMな集団だと私は思ってます(笑)。
そうねー。
中田 いいと思います(笑)
最近の中で一番やっぱり心に残っているのは、
二木あいさんっていう水中でパフォーマンスをやる人が、
水の中で5分とか、7分とか潜ってられるわけ。
私たちって息を止めていたら
30秒止めるだけでも苦しいってなると思うの。
なのに二木さんは5分以上潜っていられる。

脳科学の牛場さん
(牛場潤一・慶応義塾大学理工学部生命情報学科専任講師)と
理研の藤井さん
(藤井直敬・脳科学者、「つながる脳」の著者)という、
脳科学で日本を代表する2人とその話を聞いていて、
2人が二木さんに「なぜそんなことができるんですか」
って質問をしてみたら、
「脳が邪魔しているから、脳を止める」んですって。
2人は「5分なんて、絶対死ぬよ」って言っていたんだけど、
彼女はそれしか言わなかったの。

私はその話を聞いた後2つの理由があるなと考えて。
1つは、脳が酸素をすごく使う。
だから脳の働きを止めると純粋に酸素を使う量が減るから
水の中でいられるようになるっていうのが1つ。

もう1つはね、
脳がより安全に生きているように体を守るために、
あれはできない、これもできないって指令を出しているわけ。
火事場のバカ力みたいに、本当は持てるんだけど、
それをやると体にすごい負担になるから、
体を長く生きさせるために
人間のポテンシャルをある意味で潰している。

欲望に対しても、可能性に対しても、能力に対しても、
いろんな意味で10%くらいの活動しかさせないまま、
「あなた達はこれが精一杯ですよ」って制限をかけてくる。
それが脳だと思うんですよね。
加茂 僕はスポーツをやっていたので
その話はすごく分かります。

例えばものすごく脚が速い人って、
怪我をしやすかったりするんですよ。
自分の能力の限界値を超えてやろうとするから、
それを支えられる筋肉がない時は怪我をするんです。
そうそう。
脳が設けている制限を超えると、
肉体も心もダメージを受けるはずなんですよ。
やっぱりある程度トレーニングがないと
コントロールしきれない。
だからいろんな意味でまあまあの中でやっているんだけど、
私はそこをもう少しずつ開いていきたい。

少しずつ少しずつ開いていくというか、
苦しみを感じないために
いっぱいコートを着ている状態よりは、
真っ裸で「さむーい!」ってなったほうが、
生きてるっていう実感が湧く。
だから痛くても生肌感覚でいつまでも生きていたいなって。
加茂 それはすごくわかります。
ただ、感情を開放した時って、
その分アップダウンが激しくなりますよね。
反動も来るんですよ。
加茂 それがないと楽しめないこともありますよね。
反動が来た時は
かずえちゃんに受け止めてもらう(笑)。
中田 たまに膝を抱えている時に、
本当にたまになんですけど。
私は「大丈夫です、できます!」って
声をかける係なんですよ。
もう無理かも、って言うと、「大丈夫です」って。
加茂 腕立て伏せあと1回できないという時に
「やれる!」と言ってるトレーナーみたいですね(笑)。
やったら意外と出来るみたいな。
中田 「美しいフォームです!」みたいな(笑)。
回数で褒められないときは、フォームで褒めます。
加茂 中田さんを始めとして、
いろんな人に支えられていますね。
本当だね。
中田 みんなが支えたくなるんですよね。
加茂 引っ張ってもらってる分、支えたくなるんでしょうね。

先日、FabCafeの空間設計をした成瀬さんと猪熊さん
おはなしした聞いた時にちょこっとだけ出たんですけど、
悩んでいることがあって林さんに相談を持ちかけたところ、
忙しいはずなのに、「よし、ブレストしよう!」
ってなって助かったっていう話を聞いて、
そんなエピソードがいろんな人に
あるんじゃないかなって思ったんです。

同時に、自分の時間を本当に、
人のためと自分のためといろいろとごちゃまぜにして
使っているんじゃないかなと感じました。
鋭い!そうね。一人称が曖昧だね、私。
中田 「私」が「私たち」になっている。
ないね、あんまりそこがない。

(つづきます!)

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